どこにでもある、食べられる『雑草』

自然が豊かな藤枝市、みなさんも野や山に遊びにお出かけになることがあるでしょう。
遊びに行った先でいろんな種類の草花を見かけることも多いかと思います。
今回は、そんなよく見かける草花の中で、食べられる『雑草』をいくつかご紹介します。

買い置きの野菜を切らした!
たまにはいつもと違った料理を楽しみたい!
いざという時のサバイバルのために食べられる雑草を知っておきたい
そんなあなたにお勧めの雑草……いや、有能な植物ばかりです。

タンポポ。キク科タンポポ属

タンポポ

野に咲く花の代表格ともなっているタンポポ、たくさんの草地、道端に見られ、春には黄色い花をいっぱい咲かせます。おままごとやクキを使った水車あそび、笛あそびでお子さんにも人気です。

この葉を特に春先、まだ若くて柔らかい時に摘み取って、サラダに混ぜて食べられるのはご存知でしたか?

ゆで卵やゆでたジャガイモなどとあえて、ドレッシングを振って食べるのがお勧めです。
生のままですとわずかな苦みがあるので、気になる方は軽くゆがいてから水を切って、あとは普通の野菜と同じように使うと良いようです。
そのまま天ぷらにしてもおいしくいただけます。
茎や葉にはビタミンA、カルシウム、鉄分などが多く含まれているので、食材としても優秀ですよね。

また、根はコーヒーの代用としても楽しめます。

まず、タンポポの根を掘って採集します。長いものでは1m以上になることも!
根元からだんだんと細くなるので、あまり無理のない深さであきらめましょう。
取った根はよく洗ってカラカラになるまで数日乾かします。
よく乾いたら1cmくらいの長さに切ってフライパンや鍋で乾煎りします。
完全に乾燥したら、フードプロセッサーやミルで粉状にします。
これを挽いた珈琲豆同様にお湯を注いでいただきます。

かすかにカラメルの風味があり、ほのかな甘みも感じられて、しかもノンカフェイン。
カリウムを多く含むため、利尿作用も期待できます。
コーヒーの代用品として妊婦さんなどにも人気があるようです。
タンポポコーヒーは喫茶店や食料品店でもお目にかかることがあるので、興味のある方は一度、市販品をお試しいただいてもよいかも知れません。

野原で見られるタンポポには大きく分けて二種類、セイヨウタンポポと在来の『日本』タンポポとがあります。
実際にはさらに細かい分類がありますが、セイヨウタンポポとニホンタンポポとをおおまかに区別する方法は、ガクが反り返っているか(セイヨウ)、ガクが花の下にくっついているか(ニホン)が一般的です。また、一年を通して春以外にも花を咲かせているものはたいがいセイヨウタンポポだと言われています。

ただし、食用に使う場合にはタンポポの種類は特に気にする必要はありません。

タネツケバナ アブラナ科タネツケバナ属

タネツケバナ

ナズナ

春の七草のひとつ、ナズナ(ペンペングサ)をご存知ですか?
春になると田の脇や道端で見られる小さな白い花で、茎についた種部分がハート形をしている草です。
ナズナを『鳴らして』遊んだ覚えのある方もいらっしゃるかと思いますが、今回は、そのナズナによく似たタネツケバナのご紹介です。

並んでいる写真の、上がタネツケバナ、下がナズナです。どちらもひとつずつの花の大きさは5mm程度です。
花や生えている場所が近いのでまぎらわしいのですが、タネツケバナの方は種の部分が細く伸びているので、両者の見分けは難しくありません。

花の名の由来ですが、田植えの準備のため種もみを水に浸す頃この花が咲くため、季節を知らせる花として名付けられたという説があります。
昔から人々の暮らしの中に溶け込んでいたのですね。

このタネツケバナ、同じアブラナ科のクレソンとよく似ています。葉に辛みや苦みがあるところもそっくりです。春先が収穫にちょうど良いでしょう。
クレソンの代用として肉料理や魚料理の付け合わせにもできますし、草の上部分の柔らかい部分を摘み取り、おひたし、天ぷら、炒め物などにもできます。

間違えてナズナを摘んでしまったかも? だいじょうぶ、ナズナも同様に食べられるので心配ありません。

カキドオシ シソ科カキドオシ属

カキドオシ

どこにでも生える割に、案外見過ごしている草の代表かもしれません。
春になると長さが1cmほどの薄紫色の可愛い花を咲かせますが、クキがびっくりするほど長く伸びて、ついには垣根まで通してしまうというところから『垣通し』と名付けられたそうです。
草そのものを乾燥させたものは生薬としても利用されています。特にお子さんの『疳(かん)の虫』にも効くということで『カントリソウ』の名で民間薬としても名が通っています。

葉を摘んで揉んでみると、かすかにシソとハッカとを足して二で割ったような香りがします。和ハーブとしても知られており、摘んだ葉と花とを炒めてパスタにあえたり、天ぷらにしたりすると、爽やかな香りを楽しみながら美味しくいただけます。

ヤブツルアズキ マメ科ササゲ属

ヤブツルアズキ1

薮の中、9月頃からつる状の草となって生い茂ります。
黄色い花は長さ1cm程度で、畑仕事に馴染みのある方でしたら、ああ!とお気づきになるかと思いますが、こちらはヤブツルアズキという、れっきとした小豆の仲間なのです。

花の後、細長いさやが伸び、それが9月から10月半ばくらいには黒くからからに乾いて、ついには半分に弾けて中の実が飛び出します。

ヤブツルアズキ2

この実が、よく見るとアズキそっくりなのです。ただし大きさはミニチュアサイズ、1円玉に並べた様子からも、長さは5mm以下だと判ります。米粒ともあまり変わりのない大きさですよね。

ヤブツルアズキの実

ヤブツルアズキは、なんと縄文時代から食べ物として認識されていたのだそうです。アズキの原種のひとつとも言われており、もちろん現代でもアズキ同様に食べることが可能です。
ただ、かなり小粒なので、おなか一杯になるには根気よく豆を集める必要があるでしょう。
運よく豆が沢山集められたらあとは簡単。調理方法はアズキと同じですので、お汁粉やお赤飯にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

注意すること

  • 無断で入らない・荒らさない

他の方の土地に立ち入る場合は、必ず許可をいただいてから草を採取しましょう。
また、許可があった場合でも、根を掘り採ったりした時には必ず原状復帰を行いましょう。

  • よく洗ってから

畑で採れた野菜もそうですが、車の排気ガスや雨に含まれる汚れをよく落としてから調理してくださいね。

  • 無理をしない

薮の中には毒を持つ虫や蛇なども潜んでいる場合があります。また、採りたい草が前方に見えたからと言って、足元が見えないがけ地などには近寄らないようにしましょう。

  • 疑わしきは食さず

判断がつきかねる植物については、よく調べてから調理してください。どうしても判断がつかない場合には、いさぎよくあきらめましょう。
有毒な植物や、食べ過ぎのよくないものもあります。できれば始めのうちは植物にくわしい方と同行して、いろいろと教えてもらいながら探してみるのがベストです。

 

他にもたくさん『食べられる雑草』がありますよ。
今まで単なる草原や薮だと思っていた場所が、実は食糧の宝庫だった……と思うだけでワクワクしてきますよね。
適度に楽しく、食べられる雑草を探して、いろいろな料理にチャレンジしてみてください!