これぞ藤枝!?愛すべきディープな方言たち

 全国住みたい都道府県ランキングという企画を時々耳にすることがありますが、近年、静岡県の人気度も高くなりつつあるようです。
 気候の温暖さや、交通アクセスの良さ、豊富な自然や史跡など、どこをとっても魅力がたくさん。

 その中でも県のど真ん中、藤枝市も住んでみたい要素がたっぷりです。
 地域外からの定住・移住を促進するためのお役立ちサイトもあるのです。

 それがこちら。

藤枝スタイル(定住・移住促進ホームページ)

 

 しかしそんな中、

「近所の方から聞いたことばの意味が分からなかった」

「高齢者施設で仕事を始めたが、方言らしいことばが多く、会話のきっかけがつかめない」

 などなど……意外と「ことば・方言」に関する悩みを持つ方もあるようです。
 すぐに聞き返せば良いのでしょうが、なかなか勇気がなくて……

 そのような「藤枝(静岡)ことば」の中から、よく耳にする割に実はよく分かっていないものをいくつかご紹介します。

いかい…大きい

 転勤のため藤枝に住み始めたAさん、初めて近所の魚屋さんに行った時、美味しそうな旬のカツオがサク(刺身用のかたまり)で売られているのを見かけました。新鮮そうで値段も安いため、買おうと声をかけたところ、刺身に切ってくれると言われて大喜び。しかし、その後の質問に当惑します。
「いかく切るかね?」
 あの、イカではなくてカツオが欲しいのですが、とおそるおそる返事をしたものの、いかく切るだね? いえカツオを、の繰り返しになってしまい、後から事情を知って大笑いしたのだそうです。

こつい…小さい

 ケア・マネージャーのBさん、とあるお宅を訪問しようとして道に迷いました。ふと、向こうから歩いてきたおばあさんを見かけ、道を尋ねることに。
 Bさんの出した名前に、おばあさんは心当たりがあったようで、すぐに川下を指さしてこう答えました。
「その家なら、こっからずっと行って、こつい橋んとこ、左に入ってすぐだよ」
 見ると、橋は何本も見えます。『こつい』の意味が解らなかったBさんは『ごつい』の間違いだろうと判断して、少し先の大きな橋まで戻り、そこを曲がってさらに道に迷ってしまったそうです。

サイズの文字

よばる…ごちそうになる

 庭で水道の配管工事をしていた作業員さんが、『奥さん、ちょっと水よばって』と声をかけてきました。家の中にいたCさんは意味が解らず聞き返したところ、作業員さんが気づき「水を飲みたいので一杯ください」と丁寧に言い直し、Cさんは理解できました。

〇〇さら、〇〇さあら…〇〇ごと全部

 引っ越しのご挨拶に隣家を訪ねたDさん、隣の奥さんから大きなエコバッグに入った野菜を頂きました。奥さんが言うには
「イレモン(入れ物)さら、あげるで、持っていって」
 と。しかし家に帰って中をみたのですが、皿など入っておらずDさんは首をかしげました。
 こちらは、入れ物というのがエコバッグのことで、奥さんは『袋もあげるよ』という意味で言ったことばだと、Dさんはずいぶん後から気づきました。
 まるさら、という言い方もあります。これは角皿に対抗しているわけではなく、『まるごと』の意味で使われる方言です。

 その他にも、味わい深い方言はいろいろとありますよ。

はだって…わざと

「あんた、花瓶、はだって割ったら(わざと割ったのでしょう)?」

がらい、がらいか…うっかり、偶然、あやまって

「いや、がらい落としちゃっただよ!(うっかり落としちゃったんだよ)」

とぶ…走る

「間に合わんで、とんでくさ(間に合わないから走って行きな)」

飛んでいる人

べろくた…でたらめ

「もったいないで、べろくた描くなよ(もったいないからいいかげんなデタラメ描きするなよ)」

やっきりする…腹が立つ

「横はいりしないで。やっきりしちゃうなあ(腹が立つなあ)」

ちんぷりかく、ちんぷりかえる…プンプンする、怒る

「あの人、何にやっきりしただか、ちんぷりかいてる(何に腹を立てたのか怒ってる)」

すーーーっき、きーーーーんらい(語間を伸ばす)

 これは、方言というよりは、強調したいことばの語間を強調したいだけ伸ばす、独特の語法です。
 子どもどうしが言い合いをする時など、何かを比べ合う場合にどれだけ大きいか、好きかきらいか、など、息が続く限り伸ばして表現することがあります。

 

 方言には語源もはっきりとせず、いつの頃からか使われて日常生活に溶け込んでいるものもあります。
 しかし昨今では、その土地に根付いていた方言も急速に消えつつあるようです。

 面白おかしいというだけではなく、地域に息づくこれらのことばたち、地域文化のひとつとしても大切にしたいですね。