第18回企業訪問 株式会社 渡邊商店

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代表取締役社長 渡邊隆之

 

黎明期〜創業期

日本の瓦の三大産地といえば、愛知県の三州瓦/島根県の石州瓦/兵庫県の淡路瓦があげられますが、かつては静岡県の清水でも瓦の製造がおこなわれていました。駿府城築城の折、三河の瓦職人が移住し、清水・巴川の良質な粘土を原料に、いぶし瓦を生産したのが始まりとされ、当時の清水は瓦の生産が大変盛んな地域で、三大産地と肩を並べるほどだったといいます。


株式会社 渡邊商店」の源流は、旧清水市(現 静岡市清水区)江尻町にあった「渡邊瓦販売所」になります。
その創業は安政年間(1855〜1860年)にまたがり、代々瓦の製造を続けてきました。大正時代、渡邉金左衛門さんが当主の時に頭角を現し、その渡邊家の長男 幸次郎さんのところに、市川家から養子に入った渡邊 銀蔵さんが、現「渡邊商店」のルーツになります。


渡邊瓦販売所は、それまでの粘土を粘着させ釘止めをする瓦の欠点を改良し、地震にも強い「引掛付瓦」を開発し、生産工場を6つ持つまでになります。

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静岡民友新聞/大正14年6月29日に掲載された渡邊瓦販売所の記事

 

大正14年6月29日の静岡民友新聞に渡邊瓦販売所の記事があり、その第三工場工場長の紹介に渡邊 銀蔵さんの名前があります。渡邊瓦販売所はのちに「カネキ 渡邊金左右衛門商店」となり、銀蔵さんの長男 武雄さん、五男 好夫さんもそこで働きます。


一大産業だった清水瓦ですが、その生産にともなう煤煙が対策を求められるようになり、その運搬も船からトラック輸送に移っていきました。時代は高度成長期で静岡県内でも建設の仕事が多くなり、菊池 安治氏(現 菊池建設株式会社)の仕事が増え、好夫さんは拠点を藤枝に移しました。


1952(昭和27)年 渡邊商店を創業しました。初代の代表は好夫さん。屋号は「丸西」です。
後に2代目となる渡邊 隆之さんは、その年に清水市(現 静岡市清水区)で生まれ、子どもの頃から瓦に囲まれて育ちました。


1969(昭和44)年頃 瓦製造ではなく、屋根瓦の施工の仕事をするようになりました。長男の武雄さんは銀蔵さんの後を継ぎ、清水市江尻台町の「カネキ 渡邊金左右衛門商店 第三工場」で働きました。


昭和40年代からは鬼瓦職人(鬼師・鬼板師)の大橋 誠一(号:景月)さんとともに、近代鬼面の製作に力を入れていきます。


1970(昭和45)年 18歳で瓦工事の仕事を始めました。自分で4tトラックを運転し、三州地方まで瓦を取りに行き、帰って施工先の屋根に瓦を載せ、また瓦を取りに行く、の繰り返しでした。

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若き日の渡邊隆之さん

 

1974(昭和49)年には、七夕豪雨で窯が水没するなどの被害を受け、清水瓦は姿を消していきました。
その後ご縁があり、東京の東郷平八郎との縁の深い日蓮宗「東郷寺」の工事をすることになりました。東郷寺の山門は、黒澤明監督の名作「羅生門」のモデルにもなった山門です。住職の親御さんであるご隠居さんを隆之さんが大切に思い優しく接していたことで、隆之さんの人柄が気に入られ、1976(昭和51)年、客殿の工事を一人で任されるようになりました。その後も東郷寺各所の修復工事を任されています。

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東郷寺客殿工事を任された隆之さん

 

その後も依頼を受け、全国の社寺仏閣、公共工事、店舗等の瓦屋根工事の仕事を続けました。好夫さんは現場を離れて、管理の仕事をするようになりました。さらに、もともと芸術に興味があった初代の好夫さんは、その多岐にわたる取引先との出会いから、多くの芸術家との交流も大切にしました。

 

1955(昭和30)年頃 好夫さんの兄 宗一さんが静岡市(現 葵区)上土に「巴カメラ」を開業。後に、弟の勝(まさる)さんが静岡市(現 葵区)巴町に2号店「巴カメラ+巴美術」を開業。陶芸家 小川 幸彦さんとも交流があり、作品なども展示しました。


1975(昭和50)年 渡邊 隆之さんは、望月 町子さんと結婚。翌1976(昭和51)年、自社敷地内に3号店「巴カメラ・スタジオ」を開設。写真のDPT受付と、撮影スタジオで七五三の記念写真などの撮影し、地元の方々に喜ばれました。

また、島田市在住の小川 幸彦さんの窯を譲ってもらい、小川さんのお弟子さんと一緒に敷地内にプレハブを建て、窯を設置しました。それが後に「陶芸教室・郷倉窯」になります。


渡邊商店では、藤枝市に移ってからは瓦の仕入れは用途に応じて、三州瓦(愛知県)、石州瓦(島根県)、淡路瓦(兵庫県)を仕入れていますが、鬼瓦については構図から設計して、手作りで作成しています。先代師匠 大橋 誠一(号:景月)先生の作風を継承し、好夫さんがその手先の器用さから見いだした原川 圭介さんを現代の鬼師に育てました。原川さんは、この郷倉窯で鬼瓦を焼いています。
渡邊商店では、鬼瓦を構図から設計し、その建物の表情に似合う鬼瓦を手作りで作成している、静岡県唯一の会社になりました。

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1987(昭和62)年「勲七等青色桐葉章」を受賞された大橋 景月 氏


 

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鬼板師 原川 圭介さん

 


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左:鬼瓦の例「蓮子獣面文鬼」/右:鬼瓦を取り付けているところ

 

 

成長期

渡邊商店は実績を重ね、1991(平成3)年 8月に法人化して「株式会社 渡邊商店」になりました。
その後の成長を主な実績とともに紹介します。

1991(平成3)年8月 株式会社 渡邊商店を法人化

1995(平成7)年 「郷倉窯陶芸教室」開講

1996(平成8)年 新社屋建設

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新社屋の写真

 

1997(平成9)年 長男 大輔さん入社

1998(平成10)年 大旅籠柏屋 主屋の改修工事

1999(平成11)年 匠宿

2004(平成16)年 隆之さん2代目代表取締役に就任

2005(平成17)年 10月 アメリカ・ネブラスカ州オマハ市の植物園内に駿河茶屋を再現するために瓦を寄贈し、施工
 

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駿府茶屋の前で

 

2006(平成18)年 若手陶芸家を応援するギャラリー「郷倉窯~たまごの器」を自社敷地内に開店。

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「たまごの器」の店内

 

2008(平成20)年 次男 亮太さん入社

2009(平成21)年 ニュージーランドに日本の茶室を建築

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ニュージーランドに日本の茶室が完成

 

2012(平成24)年 東京都府中市 東郷寺の工事
 

2013(平成25)年 岡部宿 内野本陣の復元工事

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岡部宿 内野本陣の門

 

2013(平成25)年 駿府城 坤(ひつじさる)櫓の復元工事

2013(平成25)年 掛川市 JR掛川駅 北口駅舎

2014(平成26)年  京都府 天台宗 青蓮院門跡 大護摩堂 青龍殿の建立工事

2014(平成26)年 登録文化財 興津清見寺 山門の葺き替え工事

2015(平成27)年 登録文化財 清見寺 鐘楼の葺き替え工事

2016(平成28)年 小田原市 小田原城 天守閣の耐震改修工事

2017(平成29)年 清水の次郎長 生家の修復工事 貴重な既存の「清水瓦」を選別し、復元させて吹き直しました。
 

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スタッフの皆さん

 

渡邊商店の社寺仏閣の仕事一覧は、こちら

 

加盟団体

 

 

陶芸事業部

陶芸教室・郷倉窯
  
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社員募集

渡邊商店では、技術に裏付けされた伝統的な仕事・やりがいのある仕事に一緒に取り組んでくれる人材を募集しています。福利厚生も充実しています。興味のある方はお問い合わせください。
 


地域貢献

渡邊商店では、がんばっている地元の芸術家や、地域の活動を応援しています。

 

  • 陶芸家 前田 直紀さん

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  • 陶芸家 岡本 みつおさん

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  • 落語家 古今亭志ん好 師匠(「古今亭志ん好応援隊」隊長 渡邊 町子)
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古今亭志ん好さん

 

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古今亭志ん好応援隊隊長 渡邊 町子さん、古今亭志ん好さん、雷門音助さん

 

  • NPO法人 集いの場所サンライズ(養育困難の家庭の子どもたち育成支援)
  • 藤枝MYFCオフィシャルスポンサー
  • 体験イベント 藤枝おんぱく(藤枝温故知新博覧会)みちゆかし

などに参加

 

 

会社情報

 

 

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