第14回企業訪問 株式会社藤枝江﨑新聞店

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株式会社 藤枝江﨑新聞店」3代目「江﨑晴城」さんにお話を伺いました。


「株式会社 藤枝江﨑新聞店」は2018(平成30)年に創立80周年を迎えました。
その歴史は情報の源である新聞販売を基盤に、劇場・映画館、カルチャースクール、書店など、藤枝の娯楽や文化の成長にも深く関わっていました。

社是は「感謝・親切・奉仕

同社の成り立ちを解説しながら昭和・平成・令和それぞれの時代の藤枝も紹介していきます。

 

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藤枝江﨑グループ 創業80周年記念誌を参考にさせていただきました。

 

藤枝江﨑グループ

  • 藤枝江﨑新聞店
  • 藤枝江﨑書店
  • SBS学苑藤枝校
  • 藤枝オリコミピーアール
  • 旭光興業・The Label
  • FT global(FTグローバル)

 

 

黎明期

「藤枝江﨑新聞店」の創始者「江﨑浮山」さんは、1887(明治20)年に愛知県小牧に生まれ、青・壮年期を名古屋で過ごし、製粉卸売業、芝居みやげ販売「芝居屋浮山」などを経営。後に地方紙「静岡日報」の名古屋支局長を務めました。

さらに役者などの著名人に知人が多かったので、自らと並んで撮影させた「併立写真収集家」としてすでに有名でした。

1929(昭和4)年 名古屋市にて長男「江﨑友次郎」さんが生まれました。

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草創期

1938(昭和13)年 50歳の時、静岡で「江﨑新聞店」を開いていた兄「江﨑鋹兵衛」さんに勧められて藤枝に転居。
「東京日日新聞(毎日新聞の前身) 藤枝専売所(新聞販売店)」の経営に携わります。


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さらに街のためにできることを考え、映画興行業務も始めました。
まずは1939(昭和14)年に「旭光座」(現 藤枝3丁目付近)、1940(昭和15)年に「松竹座」(現 藤枝5丁目付近)の経営を開始。

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1941(昭和16)年には太平洋戦争が勃発し、戦時下では新聞も統制され、1945(昭和20)年 業界を統率していた「日本新聞公社」より新聞配給所長として公認されました。
その年に終戦。

1948(昭和23)年にデビューした「美空ひばり」さんが「旭光座」で来演し、戦後間もない藤枝の人々に大盛況でした。

 

 

成長期

戦時中の合売体制が解体し、1952(昭和27)年 各新聞社が専門店を設置する専売制時代になりました。
劇場の花道や枡席はイス席に改装されて、映画館になっていきました。
さらに新聞社は野球チームのスポンサーになっていることも多く、新聞の販売促進のために配られる映画や野球の招待券を求めて「江﨑新聞店」には人々が列をなしました。

1954(昭和29)年 「毎日映画劇場(通称:毎映)」(現 駅前3丁目。社長は長男「友次郎」さん)を開館。

1955(昭和30)年 劇場「テアトル毎日」(下伝馬)を開館。

1957(昭和32)年 劇場「岡部毎日」(岡部町)を開館。

大井川町でも映画の不定期上映を行う「駿南劇場」を運営。
このころまでに計6館の劇場を経営し、映画のフィルムをやりくりして多くの観客を楽しませていました。
映画館は当時の若者にとっては恰好のデートコースで、志太地区の娯楽文化の一翼を担いました。

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1961(昭和36)年 地域文化への貢献を目的とした私設図書館「毎日浮山館」(仮宿)を開館。

1962(昭和37)年 複数系統の新聞を扱う「複合専売」形式を採用し、「育伸社」と共同し「共栄店」(現 藤枝2丁目)を組織しました。

1963(昭和38)年 藤枝駅前の毎日会館に「毎日綜合教室」を開講、藤枝市初の3階建ての建物でした。
教室は県内初のカルチャースクールで、料理教室をはじめ絵画、華道、算盤、きもの着付、英語、音楽教室などが行われました。

 

 

変革期

高度成長期を迎え家庭用テレビが普及すると、映画館の時代も幕を下ろします。
1969(昭和44)年 「旭光座」が閉館し、「松竹館」は改装して「シネマ・ゴール」と改称、隣には洋風喫茶のはしり「グリル・ゴール」を開店させました。

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1971(昭和46)年 「岡部毎日」、1972(昭和47)年 「テアトル毎日」、1973(昭和48)年 「毎映」、1975(昭和50)年 「シネマ・ゴール」が閉館し、映画産業からは撤退をしました。

この頃志太地区はベッドタウン化が進み、多角化戦略として書店事業を立ち上げ、1976(昭和51)年 「毎日会館」を駅前2丁目に新築移転し、同会館内には志太地区随一の床面積の「藤枝江﨑書店」をオープンさせました。

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確立期

事業規模拡大に伴い、株式会社に組織変更。
1979(昭和54)年 「株式会社 藤枝江﨑新聞店」を設立。
翌年、現在の本社「江﨑新聞ビル」を新築しました。

1983(昭和58)年 旧「毎映」跡地(駅前3丁目)に「毎栄ビル」を新築。
翌年「毎日綜合教室」を移転し、「藤枝カルチャーセンター」を開講。

不動産業の「旭光興業 有限会社」を設立(社長は「友次郎」さん)。
共栄店を法人化し「有限会社 藤枝共栄販売所」を設立しました。

1987(昭和62)年 駐車場50台完備の大型書店「藤枝江﨑書店 メディア3駅前店」開店。

1988(昭和63)年 創業50周年を迎え「50周年記念式典」を開催しました。

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前進期

平成の時代を迎えて1990(平成2)年には「藤枝江﨑書店 駿河台ベスト店」、1995(平成7)年には「駿河台ベスト店」がショッピングセンター「ナッティ」内に、増床移転しました。
新聞の折込広告の取り次ぎ業務を分離・独立するために「有限会社 藤枝オリコミピーアール」を設立、社長は「江﨑晴城」さんが就任。

1997(平成9)年 書店第4の拠点「藤枝江﨑書店 蓮華寺池公園店」を開店。

1998(平成10)年 毎映ビルの「藤枝カルチャーセンター」が「SBS学苑」とタイアップし、綜合カルチャースクールに成長しました。
同年は創業60周年で「この街でふれあい感謝の60年」をスローガンに感謝の集いを開催しました。

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発展期

1999(平成11)年 「友次郎」さんが「藤枝商工会議所」の会頭、さらに「藤枝市観光協会会長」に就任し、藤枝市の経済・文化・観光を牽引する顔になりました。

2000(平成12)年 新聞宅配網を活かした「宅本サービス」をスタートしました。

2005(平成17)年 新聞販売店が住民・障がい者と一緒になり地域の森の再生に取り組む「古紙回収サービス事業」をスタートさせました。

2006(平成18)年 地域の超ローカル情報紙「Yomu 46」を創刊。

2008(平成20)年 「Yomu 46」が新聞購読者のための情報紙「むるぶ(読む・見る・遊ぶ)」(41,400部発行)に発展。
市内の他の新聞店にも声を掛け、藤枝市内全域に配布し始めました。
この年「創業70周年感謝の集い」を行い「友次郎」さんが会長に、「晴城」さんが代表取締役社長に就任しました。

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飛躍期

2009(平成21)年 藤枝駅南に官民複合施設「BiVi藤枝」がオープンし、館内に「藤枝江﨑書店 BiVi店」を開店しました。
「むるぶWEBサイト」も開設。前年から始めた古紙回収で得られた資金を元に桜の新名所を作ろうという「千本桜プロジェクト」も継続しています。

2010(平成22)年 情報紙「むるぶ」の情報が焼津市にまで拡大、発行部数82,000部になり、焼津市の新聞店とも連携して藤枝市・焼津市全域にも折込まれることになりました。

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2011(平成23)年 朝からラーメンを注文して食べるという藤枝の食文化をわかりやすく発信する「藤枝朝ラー文化軒究会」を立ち上げ、事務局を担当しています。地域のために新しいトレンドを検討したり、地域に貢献できる事業を立ち上げたりしています。

新聞だけでなく、新しいメディアの台頭に伴い、2012(平成24)年からは地元のケーブルテレビの番組「駅サイティング藤枝」の番組プログラムをコーディネートしたり、藤枝市からの委託事業として藤枝駅改札前の大型ディスプレイ「パープルビジョン」の運営を始めました。

2014(平成26)年からは宅配することを活かした事業として、藤枝市と連携し市内の5新聞販売店が共同で高齢者の見守り・声掛けサービスを始め、さらに健康を気遣い「牛乳の配達事業」も始めました。時代の流れに合わせて情報発信の方法も多様化してきたため、動画を使った「むるぶTV」の配信も始めました。

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躍進期

2015(平成27)年 島田市に配布するフリーペーパー「ココガネ」(50,000部)が創刊されました。
藤枝市の文化施設「藤枝市民会館」の企画・運営を行う指定管理事業も始めました。

2016(平成28)年 新聞購読世帯への広告配布サービス「ポスティング事業」を始め、藤枝・焼津・島田の全世帯をカバーする「むるぶプラス」(132,000部)を発行し始めました。

2017(平成29)年 「晴城」さんが藤枝市観光協会会長に就任。

2018(平成30)年 「地域みっちゃく生活情報誌 ふじえ〜ら」を創刊(藤枝市内54,000部発行)。
子育て応援施設を動画で紹介する「ふじえTV」の配信もスタートしました。
藤枝市と台湾との交流から始まって「台湾遠達国際」との共同出資で貿易・旅行・海外展開支援を行う会社「FTグローバル」を設立しました。

2019(平成31)年 「藤枝市観光案内所」をリニューアルして、店内に藤枝ゆかりの品々・お土産物などが並ぶ「fujifujiマルシェ」を設置、観光客や市民が立ち寄れるスポットができました。また、創業80周年を迎え記念式典が行われました。

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さらに未来へ

株式会社 藤枝江﨑新聞店」では、2013(平成25)年から企業の社会的責任を意識して、地域活動や地域貢献事業などを「CSR(Corporate Social Responsibility)レポート」として報告しています。その中でも年度を超えて継続している取り組み、最新の取り組みなどを紹介します。

2008(平成20)年に市内すべての小学校15校に「AED(自動体外式除細動器)」を寄贈し、その後も小中学校に社員を派遣して「AED・命の大切さ、新聞の読み方講座」を開催しています。

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藤枝市で何か事業をするときに特徴的なのは、ライバルになりそうな同業者があえてその垣根を崩し仲良く協力し合ってその事業をすることにあります。そのいくつかの事例が「株式会社 藤枝江﨑新聞店」の周りで起きています。

たとえば「居酒屋から藤枝を元気にする会」という居酒屋のグループの活動が始まりで、「藤枝居酒屋グランプリ」というイベントがほぼ毎年行われてきました。
2006(平成18)年の「豆腐対決」から始まり、毎年地元の特徴的な食材などをテーマに、参加店が斬新なメニューを競うもので、後に「藤枝居酒屋グランプリ実行委員会」が立ち上がりました。
2020年には「藤枝かき氷ガイド2020」を発行しています。

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他にも新聞配達のバイクにドライブレコーダーを設置し、動く防犯カメラとして地域の子どもたちを見守るという取り組みも行っています。地元の「村上開明堂」の協力で、バイク本体に設置できる装置が完成。
市内5つの新聞販売店のバイク150台に装着され、動画データが記録されます。
事件性のあるできごとがあれば、データを提出して捜査に協力が可能です。
このような藤枝市の取り組みは全国初で、先進的な事例として紹介されています。

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最後に

80年前に初代が新聞店を創り劇場の経営を始めましたが、時代の流れを読んで映画館はたたみ、カルチャースクールや書店を創りましたが、その見極めとタイミングが大切です。
新しい形態の業務を始めるときよりも、閉めるときの方がエネルギーが要るものです。

今や、デジタル・IT・バーチャルの時代ですが、まだまだアナログでリアルで手が掛かるものもあります。
ただその両方があることが大事で、時代の流れに取り残される人をつくらないように、配達サービスが最後の届け手となる「ラストワンマイル」の事業が大切だと思っています。

現在は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、社会のあり方も大きく変わろうとしていますが、リモートやテイクアウトのシステムなど、新しい要素を取り込んでサポートできるサービスを提供していきたいと思います。
と「江﨑晴城」さん。

 

2019年には日本経済新聞社が公募した「NIKKEI全国社歌コンテスト」に応募し、「ユーモア賞」を受賞しました。

社長以下、社員総出で撮影したこの動画で、明るい職場が伺えます。
ますます、今後が楽しみです。

 

 

会社情報

  • 会社名:株式会社 藤枝江﨑新聞店
  • 住所:藤枝市藤枝1丁目4-12 江﨑新聞ビル
  • TEL:054-641-0537
  • FAX:054-644-5520
  • MAIL:info@ezaki.ne.jp
  • HP URL:https://ezaki.ne.jp/company/
  • 藤枝江﨑グループ:株式会社 藤枝江﨑書店/旭光興業有限会社(THE LABEL)
    株式会社 オリピー/株式会社 藤枝オリコミピーアール/有限会社 大井川新聞販売
    株式会社FTグローバル/SBS学苑藤枝(江﨑毎栄ビル)

 

 

 

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